システムアーキテクトに合格した時(平成23年 2013年なので大分前なのですが…)の論文骨子を再現します。
10年前のことなので、記憶もあやふやですが、覚えている限りで書いていきます。
題意に沿って、はめこんでいけば必ず合格レベルに達しますので、少しずつ練習を重ねていってください。
システムアーキテクトは論文試験の登竜門のような試験で、SEの方が最初に受験するにはピッタリだと思います。

この試験で、論文試験の型を覚えてしまえば、論文試験は割と勉強時間を割くことなく合格できるようになると思います。
午後Ⅱ 選択問題
2013年(平成23年)の午後Ⅱは問1を選択しました。
2011h23a_sa_pm2_qs.pdf (ipa.go.jp)

複数システムの連携の話です。
1本同じような内容を準備しておけば、割と汎用的に使いまわせる題材なんじゃないかと思います。
設問ア 骨子のサンプル
設問アは以下です。

よって、論点は2点に絞られます。
それをアー1~アー2までに分け、それぞれに骨子となる文言や文章を入れていきます。
設問アを分解すると以下の2つですね!
アー1 複数システムの構造見直しの背景と概要
アー2 対象になったシステムの概要
それぞれ具体的に自分の経験を載せていきましょう。
自分の経験でなくても、大体こんなもんだろう、でもOKです!
文章にせずに自分が見て論文を書けるレベル(箇条書きやキーワード)でまとめておけば大丈夫です。
また、論文の冒頭では、自分の会社の業態、自分のポジションについて明記してください。
(私はシステムインテグレータのシステムアーキテクトである、など。)
アーキテクトをやったことがなくてもシステムアーキテクトとして書かないと速攻で不合格です。
~以下骨子~
アー1 複数システムの構造見直しの背景と概要
・卸売企業向けのシステム構造見直し
・20年近く使った販売システムの再構築がメイン
・製造側の生産管理システムなどはExcelの手入力や紙帳票で済ませていたが、受注拡大により次第に効率化が必要になってきたため、販売管理システムと製造のシステムを販売管理システムの再構築に合わせて一体化する。
・会計システムも別システムとして利用しているため、会計システムとの連携も検討する。
アー2 対象になったシステムの概要
・販売システム 受注~出荷、売り上げまでの管理
・製造システム 生産管理システムから、製品の原価計算までを管理
・会計システム 売上や製造原価の管理、および全社の会計管理全般
設問イ 骨子のサンプル
設問イは以下です。

まず、設問イを分解して骨子として必要なものを抽出します。
メリットなどの選定理由、とあるのでメリット(できればデメリットも)記載していきましょう。
イー1 業務の視点からの分析
イー2 システムの視点からの分析
イー3 新しいシステム構造
イー1 業務の視点からの分析
販売システム:商品(モノ)、売り上げ(カネ)の管理、現時点の状況がリアルタイムでわかることが必要。現時点で販売系の仕組みに不満のあるユーザはいないが、製造の余力など全社の状況を確認したい需要あり。
製造システム:Excelベースの管理に限界。受注増でExcel管理では業務そのものの崩壊、また属人化による技術伝承に不安が残る。
会計システム:販売システム、製造システムの情報を手入力している。自動化が肝。
イー2 システムの視点からの分析
販売システム:現行機能は原則踏襲するが、利用履歴などのメタデータを確認して利用していない機能は実装せずスリム化することで軽量化・高速化を図る。
製造システム:現行業務を分析し、システム要件を確定。生産計画は刻々と変わる受注状況により都度更新するため、Webベースのシステムでは使い勝手に問題があることが分かった。
会計システム:販売システム、製造システム上の必要なデータを連携するための方策が肝要。幾つか方策を検討(後述)したが、データベース統合により、リアルタイムでの確認が可能となるようにした。
イー3 新しいシステム構造
新しいシステム構造としては、データベース統合を採用した。理由は以下のメリット・デメリットから業務要件として必須と判断。
また設問ウのデメリットにも対応できる、と判断したから。
案1)ERPパッケージ導入によるシステム連携
販売・製造・会計を一括で扱えるERPパッケージの導入のメリットは、パッケージに業務を合わせることによる業務スリム化、統一システムによるリアルタイム連携が可能、などがあげられる。
デメリットとしてはコストが非常に高額になることであり、コスト面で本案はNG。
案2)CSV等のファイル連携によるシステム間連携
この方式は非常に安価に連携システムを構築できる。
デメリットはCSVの出力・連携のタイミングによってリアルタイム連携ができないこと。
業務的に受け入れられず、この案もNG。
案3)データベース統合
データベースを1か所に統合することで、シームレスに全てのデータが閲覧可能。
デメリットは、データベースを統合することで、膨大なトランザクションデータが発生し、将来的にシステム容量のひっ迫で動作遅延が起きること、異なるシステムであるためマスタの体系が異なり整備が必要であること、の2点。
デメリットへの対策は設問ウで求められているので、ここでは言及しない。
設問ウ 骨子のサンプル
設問ウは以下です。

よって骨子はこれですね。
ウー1.データベース統合のデメリット
ウー2.デメリットの軽減方法
ウー1 データベース統合のデメリット
1.膨大なトランザクションデータが発生し、将来的にシステム容量のひっ迫で動作遅延
2.異なるシステムであるためマスタの体系が異なり整備が必要
ウー2 デメリットの軽減方法
1.膨大なトランザクションデータが発生し、将来的にシステム容量のひっ迫で動作遅延
月次処理などで、一定期間を過ぎたトランザクションデータはデータベースからexportし、別の媒体にバックアップとして取得。
テストではバックアップからの戻しのテストも行い、万が一の時に備え、バックアップデータのリストアと閲覧の手順も整備。
業務要件とすり合わせ、10年以上たった会計以外のトランザクションデータはバックアップ用媒体へ出力することにした。
2.異なるシステムであるためマスタの体系が異なり整備が必要
販売と会計の新旧のデータベースのマスタ体系が異なるため、すり合わせが必要。
データベース統合前のマスタの新旧比較表を作成し、旧データの移行時にマッピングして全て新システム体系に置き換えることで、新システムではマスタ体系は一本化させることにした。
論述の対象とするシステム開発の概要
論文試験では、論文以外にもアンケートのようなものを記入する必要があります。
このアンケートは非常に大事ですので、ざっと目を通しておいて、試験当日に記入する内容をイメージしておいた方がよいです。
詳しくは関連記事を参照してください。
この内容と論文の内容の整合性が取れていないと不合格になりますので、気を付けてください。
まとめ
こんな感じです。

論述は選択式ですが、全て書きにくい論題の場合も十分考えられると思います。
その場合、案を複数出して比較できるお題を選択して文字数を稼いでいきましょう。
複数の案を比較するには知識を増やすしかありません。
もっとも効率的な方法は、午後1の文章問題を勉強して、その構成を覚えておくことです。
そうすることで今回のようなケースでも案の1つとして論述することができるようになります!
午後1の解き方はこちらでまとめています。
ITストラテジストの午後問題ですが、どの試験区分でも共通して使える解き方だと思いますので、一読してみてください!
システムアーキテクトに合格できれば、プロジェクトマネージャ、ITストラテジストとどんどん合格できるようになると思いますので、是非頑張って合格してください!




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