技術士の出願時に必要な業務経歴と業務内容詳細を記入してみました。
自分で記入しただけでは良し悪しも分からないため、またしても小泉士郎@技術士(建設・総監)さんに添削をお願いしたところ快くOKして頂きました!
※小泉士郎@技術士(建設・総監)さんに論文添削をお願いした時の記事はこちらです。
業務経歴・業務内容詳細記入時の注意事項と疑問点
業務経歴を記入するにあたり色々とサイトを眺めていたのですが、私なりに大事だと思った注意事項と疑問点を列挙していきます。
疑問点については添削と併せて回答を依頼しております(小泉さんありがとうございます!)。
注意事項
業務内容の書き方は「計画、研究、設計、分析、試験、評価、指導」で終わるように書く必要があります。
なので、勢い「〇〇の開発」、などと書くのはNGです。
上記のどの業務なのか、きちんと分類して記入した方が良さそうです。
疑問点
・転職により複数の会社に所属した経歴がある場合、会社単位で概略だけ書いた方が良いのか、それともプロジェクトに特化して数件抽出した方がよいのか?プロジェクトの詳細が分かる分、後者の方が良いのでは?と思っています。
・出願時の話ですが、実務経験証明書の証明者は、部署の「課長」または「部長」で問題ないか?
また、業務内容詳細は現職でなく前職のものだが、証明者は現職の部長や課長でも問題ないか?
(前職の職務内容を確認した上で内定を貰って入社しているし…)
・業務内容詳細の「5.成果」は、技術的な成果を挙げるべきか?私の専門はIT会社ではない会社の情報システム部門なので、技術開発そのものよりも開発された技術を利用した製造メーカー本来業務への成果がメインになってしまうのが若干不安。
・業務内容詳細は技術士のコンピテンシー(専門的学識、問題解決、マネジメント、評価、コミュニケーション、リーダーシップ、技術者倫理)を意識した書きぶりの方が良いか?
では、添削前の業務経歴と業務内容詳細を記入してみます。
業務経歴
2パターン作成してみました。
パータン1(転職歴別に概略だけ書いたもの)
詳細 | 勤務先 | 所在地 | 地位・役職 | 業務内容 | 従事期間 |
---|---|---|---|---|---|
A | AAA | 銀行関連会社の保証業務の棚卸に関するシステム開発の設計、試験 | 2012.4~2013.7 | ||
B | BBB | 係長 | 住宅設備メーカーの受注・設計・製造に関するITを利用したコスト低減に貢献するシステムの計画、設計、評価 | 2013.8~2015.8 | |
〇 | C | CCC | 担当課長 | 石油化学製品の製造部署のDX化へ向けた計画、設計、試験、評価 | 2015.9~2023.8 |
D | DDD | マネージャー | 化学製品の製造部署のDX化へ向けた計画、設計、試験、評価 | 2023.9~ |
パータン2(プロジェクト別に書いたもの 特定の会社に偏るが)
詳細 | 勤務先 | 所在地 | 地位・役職 | 業務内容 | 従事期間 |
---|---|---|---|---|---|
B | BBB | 係長 | 住宅設備メーカーの受注・設計・製造に関するITを利用したコスト低減に貢献するシステムの計画、設計、評価 | 2013.8~2015.8 | |
C | CCC | 係長 | 勤怠管理システムの計画、設計、試験、評価 | 2015.9~2017.3 | |
C | CCC | 係長 | 親会社とのネットワーク統合に関する計画、設計、試験、評価 | 2018.4~2019.7 | |
〇 | C | CCC | 担当課長 | IT・OTを活用した運転管理システムの計画、設計、試験、評価 | 2019.10~2021.7 |
C | CCC | 担当課長 | 電子帳簿保存法に対応した営業系基幹システム改修と新規クラウド導入の計画、設計、試験、評価 | 2020.4~2022.3 |
業務内容詳細
項目 | 記入内容 |
---|---|
1.背景 | 化学プラントの製造装置は24時間365日運転で、安全安定運転による装置の連続運転が必須。 国内の人口減にともなう需要減と採用難を先に見越しており、少人数運営の基盤作りやベテランの暗黙知の見える化による技術伝承を進めていく上でITの利活用が必要。 |
2.立場と役割 | 製造現場(全XX部署)のDX推進の情報システムインフラ、プロジェクト予算管理の責任者として、運転管理システムの計画、設計、試験、評価に従事。 |
3.技術的課題と問題点 | 技術的課題:OT側へ外部からの侵入を防ぎ安全にITネットワークを接続すること。 問題点:運転業務最適化のためITシステムを活用する中でOT情報の取り扱いは必須だが、OTセキュリティを担保するためITとOTネットワークはITとは分断されいる。ベテランの暗黙知や運転の引継ぎ情報は紙や口頭ベースの伝達のため電子媒体が存在しない。 |
4.技術的解決策 | ・OTのシステムをITとOTネットワークを分けるDMZへ配置し、OT→ITのみデータの転送を許可。 ・全部署の運転業務を整理し、運転情報を一元管理できる業務システムを導入。 ・ベテラン運転員の暗黙知の見える化のため、紙媒体のOCR化、RPAを活用したExcel情報のデータベース化。 |
5.成果 | 交代勤務時の申し送り打ち合わせを1部署あたり15分/回短縮。1部署あたり1日平均300分近い時間短縮効果。削減した時間で本来業務へ注力するリソースを創出し、装置の安定・安全運転へ貢献。トラブル時の過去情報検索が容易になり、トラブル収束の短時間化(1.5時間/件)、トラブル件数の削減(3件/年)。 |
6.(リスクの対策)(今後の展望) | ・AIを活用 予防保全によるトラブルの削減 トラブルの根本原因の推測 |
添削結果
添削者のnoteのリンク
小泉士郎@技術士(建設・総監)さんに添削頂いた内容も下記のnoteへ掲載されています。
他の方の添削結果など今回の添削以外にも有益な記事が沢山ありますので、是非見てみてください。
業務経歴の添削と疑問点に対する回答
業務経歴の指摘と疑問点の回答がセットになっていますのでまとめて紹介します。
質問4点とそれに対する回答です。
1つ目の質問と回答です。
質問1
・転職により複数の会社に所属した経歴がある場合、会社単位で概略だけ書いた方が良いのか、それともプロジェクトに特化して数件抽出した方がよいのか?プロジェクトの詳細が分かる分、後者の方が良いのでは?と思っています。
・なお、R6(2024)年度受験であれば、2024年3月までの経歴を書くことができます。
・業務内容に記入する用語として、令和5年受験案内PDF・p42を参考に、選択科目に該当する内容が入っているとなお良いです。
・ただ、必ずしも上記p42に示される内容の単語を入れる必要はありません。
・私が情報工学部門の専門ではないということもありますが、業務経歴を読んだだけでは、どの科目に受験されるのか判断できませんでした。
→逆にいうと、受験科目の専門性のアピールがうすい、ということになります。
・経歴票は5行ありますので、できる限りすべて埋めた方がよいです。→年数のバランス的にC社を2行にするのはいかがでしょうか?
・各経歴に技術士法第二条に示される「計画、研究、設計、分析、試験、評価、指導」が入っていてよいのですが、1つの経歴の中にメインとして実施したこと2つ程度に収めた方がよいと考えます。個人的主観かもしれませんが、3つ以上あるとしつこさを感じます。
・パターン1でも、いろんな会社で情報工学の経験を積んできたとアピールすれば、こちらのほうがよいと考えます。
・A社でも何か地位・役職を記入されることをお勧めします。ただ俗称(ヒラ社員など)はダメです(笑)
・経歴票は、上から下にかけて、成長の過程が表現できるとなおよいです。下の経歴で「指導」が入るなど。
年月の計算式は右の項目の合算が大卒なら7年を超えているかどうかです。
と思って、計算してみたのですが、足りていました(笑)
多分計算ミスだと思うので、添削頂いた小泉さんへ連絡してみます~。
(従事期間の合算は8年6か月でした)
→確認した結果、下の通り期間に問題ありませんでした! 良かった(笑)
詳細 | 勤務先 | 所在地 | 地位・役職 | 業務内容 | 従事期間 | 年 | 月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
B | BBB | 係長 | 住宅設備メーカーの受注・設計・製造に関するITを利用したコスト低減に貢献するシステムの計画、設計、評価 | 2013.8~2015.8 | 2 | 0 | |
C | CCC | 係長 | 勤怠管理システムの計画、設計、試験、評価 | 2015.9~2017.3 | 1 | 6 | |
C | CCC | 係長 | 親会社とのネットワーク統合に関する計画、設計、試験、評価 | 2018.4~2019.7 | 1 | 3 | |
〇 | C | CCC | 担当課長 | IT・OTを活用した運転管理システムの計画、設計、試験、評価 | 2019.10~2021.7 | 1 | 9 |
C | CCC | 担当課長 | 電子帳簿保存法に対応した営業系基幹システム改修と新規クラウド導入の計画、設計、試験、評価 | 2020.4~2022.3 | 2 | 0 |
2つ目の質問と回答です。
質問2
・出願時の話ですが、実務経験証明書の証明者は、部署の「課長」または「部長」で問題ないか?
また、業務内容詳細は現職でなく前職のものだが、証明者は現職の部長や課長でも問題ないか?
(前職の職務内容を確認した上で内定を貰って入社しているし…)
・問題ありません。
・組織(会社)によりますが、現職の部長または課長さんから、「もっと上の役職もしくは総務・人事部から証明をもらう」ように言われれば、それに従えばよいです。
(人数の少ない会社だと、社長さんが証明することもあります。)
3つ目の質問と回答です。
質問3
・業務内容詳細の「5.成果」は、技術的な成果を挙げるべきか?私の専門はIT会社ではない会社の情報システム部門なので、技術開発そのものよりも開発された技術を利用した製造メーカー本来業務への成果がメインになってしまうのが若干不安。
・成果とは、技術的課題及び問題に対して、技術的解決策を実行した結果、技術的課題及び問題がどうなったかの「結果」と考えます。(当然、課題・問題が解決された結果です。)
・問われている成果とは、自社部署へ開発済の技術を導入したことでもよいか、ということでしょうか?
→それでもよいと思います。ただ、口頭試験では「コミュニケーション(コンピテンシーの一つ)」を意識し、自社内部だけでなく、社外関係者との意思疎通も行ったことを意識してください。
4つ目の質問と回答です。
質問4
・業務内容詳細は技術士のコンピテンシー(専門的学識、問題解決、マネジメント、評価、コミュニケーション、リーダーシップ、技術者倫理)を意識した書きぶりの方が良いか?
・コンピテンシーは、口頭試験で聞かれる内容ですので、ここの詳細論文ではコンピテンシーにこだわらなくてよいと考えます。情報工学に関する技術的な課題解決と成果が記載されていれば、それで良いと考えます。
修正が必要な部分が多く発覚しました!
一人で作業していたら提出期限に追われてササっと書いて提出するだけでしたので、添削して頂けて本当に良かったです…。
従事期間は記入した期間の合計年数で判断するのは盲点でした…。危なかったです…。
業務内容詳細に関する添削
ここは全面的に見直しが必要です!
時間をかけて修正していきます!
本当に添削して頂いて良かったです!!
そして、願書の様式に沿って私の業務内容の詳細を記入すると以下のように尻切れになります。
そもそも全体の構成から大幅に見直しをかけますが、時間をかけて修正していく必要がありそうです。
添削後の業務経歴と業務内容詳細
指摘頂いた事項について、見直していきます。
まずは業務経歴から!
業務経歴の指摘内容と見直し
業務経歴の指摘
選択科目に関する指摘
選択科目に関する指摘は以下の3点です。
・業務内容に記入する用語として、令和5年受験案内PDF・p42を参考に、選択科目に該当する内容が入っているとなお良いです。
・ただ、必ずしも上記p42に示される内容の単語を入れる必要はありません。
・私が情報工学部門の専門ではないということもありますが、業務経歴を読んだだけでは、どの科目に受験されるのか判断できませんでした。
→逆にいうと、受験科目の専門性のアピールがうすい、ということになります。
業務経歴の指摘事項に対する修正方針
受験案内の情報工学に関する選択科目を確認してみます。
私が親和性が高いのは16-3 情報システムで
「組織の課題及び解決」「情報システムの設計」「情報システムの運営」「データ管理及びデータベース」
の4項目がキャリアに直結しています。
ですので、修正後はこの点を分かりやすく記載していく必要がありそうです。
経歴票の記載内容に関する指摘
経歴票に関しては以下の5点です。
2パターン作成しましたが、頂いた指摘で方針が定まりました。
・パターン1でも、いろんな会社で情報工学の経験を積んできたとアピールすれば、こちらのほうがよいと考えます。
・A社でも何か地位・役職を記入されることをお勧めします。ただ俗称(ヒラ社員など)はダメです(笑)
・経歴票は、上から下にかけて、成長の過程が表現できるとなおよいです。下の経歴で「指導」が入るなど。
・経歴票は5行ありますので、できる限りすべて埋めた方がよいです。
→年数のバランス的にC社を2行にするのはいかがでしょうか?
・各経歴に技術士法第二条に示される「計画、研究、設計、分析、試験、評価、指導」が入っていてよいのですが、1つの経歴の中にメインとして実施したこと2つ程度に収めた方がよいと考えます。個人的主観かもしれませんが、3つ以上あるとしつこさを感じます。
経歴票の指摘に関する修正方針
・4社の就業経験があるため4社分の業務経歴(パターン1)を記載する。
・A社の役職に「サブリーダー」的な立ち位置を入る。
・C社については2行とし、全5行をフル活用する。
・詳細を記載するC社の最後の経歴書では後進の指導に関する項目を入れる。
・「計画、研究、設計、分析、試験、評価、指導」のうち、2つまでに絞って記載する。
経歴票 見直し後
ブラッシュアップされた感が結構あります!
特に専門科目で意識したい項目を明示出来た点が良くなったところだと思います。
詳細 | 勤務先 | 所在地 | 地位・役職 | 業務内容 | 従事期間 | 年 | 月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
A | AAA | サブリーダー | 銀行関連会社の保証業務の基幹システム改善に関するシステム開発の設計、試験 | 2012.4~2013.7 | 1 | 3 | |
B | BBB | 係長 | 住宅設備メーカーの受注・設計・製造に関するITを利用した組織課題解決に貢献するシステムの計画、評価 | 2013.8~2015.8 | 2 | 0 | |
C | CCC | 係長 | 石油化学メーカーの基幹、保全、勤怠システムの計画、設計、試験 | 2015.9~2019.9 | 4 | 0 | |
〇 | C | CCC | 担当課長 | IT・OTを活用した組織課題解決へ向けた運転管理システムの計画、評価と育成 | 2019.10~2023.8 | 3 | 10 |
D | DDD | マネージャー | 化学製品の課題解決のためのDX推進へ向けた計画、設計 | 2023.9~2024.3 | 0 | 6 |
計画、研究、設計、分析、試験、評価、指導」のうち、2つまで、という指摘ですが、無理でした…。
職業柄、少人数長期間のプロジェクトが多く、一人で全工程担当することも多くある業種なので、違和感はないと判断し、基本は上記の内容で行きます!
業務内容詳細の指摘内容と見直し
見直し次第、アップします!!
が、その前に、noteの方へ大変参考になるコメントを投稿頂きましたので、そちらをまず紹介します!
(パパ造さん、ありがとうございます!!)
こんにちは。
問題、課題、課題解決の整理をしてみました。私の想像ですが、問題点は、以下のようなものではないでしょうか?
【問題】(困っていること)
24時間365日運転、連続運転が必須であるが、人材が不足しつつあり、このままでは事故が起きかねない状態である。
では、それを解消する方向性はというと、
【課題】
①人を増やす
②少ない人員で運用管理するそしてその具体策として、
【課題解決方法】
①採用計画、人材教育
※人を増やすだけでは仕事はできませんので、「仕事ができる人材をどう確保するか」が鍵となります②少ない人員で運用できるシステムの構築(見える化、AIの活用、IT/OT連携)
※未経験者でも運用できるシステムがあれば①は解消されます技術士は自社だけでなく、公共の福祉(社会)のためにあると考えると個別最適ではなく全体最適の視点で組み立てた方が説明しやすくなると考えます。
専門分野の技術士は課題解決方法の部分で様々な技術のメリット・デメリットを考慮した専門性を発揮することとなります。
【経歴票・詳細論文】「添削」 From 情報工学部門の受験者さん/技術士第二次試験|小泉士郎@技術士(建設・総監)📙| 受験支援カウンセラー🧑⚕️💐 (note.com)
業務内容詳細 添削後再作成
私のPCはキングソフトなのでExcelマクロが使えずPDFは出力できませんでした(笑)
ですので、添削後の内容をべた書きします。
文字数は減っていますので、字数制限は問題ないかと思います。
項目 | 記入内容 |
---|---|
1.背景 | 化学プラントは24時間365日運転、連続運転が必須であるが、人材が不足しつつあり、このままでは事故が起きかねない状態である。 国内の人口減にともなう需要減と採用難を理由を見越して、少人数での運転をあるべき姿とした組織運営を進める上でITの利活用が必須である。 |
2.立場と役割 | 製造現場(全XX部署)のDX推進の情報システムインフラ、プロジェクト予算管理の責任者として、運転管理システムの計画、設計、試験、評価に従事した。 |
3.技術的課題と問題点 | 技術的課題:少人数運営を支えるため、若年層でも運用可能なシステムの構築(見える化、IT/OTの連携)が必要である。 問題点:OTセキュリティを担保するためITとOTのネットワークはITとは分断されている。またベテランの暗黙知や運転の引継ぎ情報は紙が散在し見える化できていない。 |
4.技術的解決策 | ・全部署の運転業務を整理し、運転情報を一元管理できる業務システムを導入し、情報を見える化した。 ・ITとOTネットワークを分けるDMZへ配置し、DMZを経由したOT→ITのみデータの転送を許可することでセキュアな連携を実現した。 ・ベテラン運転員の暗黙知の見える化のため、大量の紙媒体のOCR化し見える化した。 |
5.成果 | 交代勤務時の引継時間を1部署あたり15分/回短縮し、1日平均300分/部署の時間短縮を達成した。情報の見える化により、課長・係長のコミュニケーション時間が削減され、平均1時間/日の残業時間削減を達成した。更に、過去情報検索が容易となったことでトラブル対応の短時間化(1.5時間/件)、トラブル件数の削減(3件/年)に貢献した。 |
6.(リスクの対策)(今後の展望) | AIを活用(予防保全、故障原因推測など)し、更なる省力化とトラブル削減による連続運転を目指す。 |
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