技術士のコンピテンシー8つは2次試験の論文と口頭試験での評価対象となっています。
従って
どの問題でどのコンピテンシーが求められているか
各コンピテンシーの内容の理解
の2点は極めて重要だと認識したため、今回コンピテンシーの内容をまとめようと思います。
令和6年度の2次試験から改定されたコンピテンシーで出題・採点されると思われますので、改定後のコンピテンシーを基に作成しました。
8つの領域と試験区分の対比
コンピテンシーは以下の8つに分類されています。
・問題解決能力
・マネジメント
・評価
・コミュニケーション
・リーダーシップ
・技術者倫理
・継続研鑽
言葉の意味を自分なりに解釈せずに、定義を確認することが大事です。
各定義は後でそれぞれ解説していきますので、まずは2次試験での対応関係を確認します。
受験申込案内書に評価項目が思いっきり記載されています!
これとの対応関係をまとめていきます。
このポイントを押さえていないと、闇雲に勉強しても合格できないと思います。
受験申込案内の評価項目
かなり明確に評価ポイントがまとまっています。
これを表にすると以下になります。
必須Ⅰ | 選択Ⅱ-1 | 選択Ⅱ-2 | 選択Ⅲ | 口頭試験 | |
---|---|---|---|---|---|
専門的学識 | ○ | ○ | ○ | 〇 | |
問題解決 | ○ | 〇 | |||
マネジメント | ○ | 〇 | |||
評価 | ○ | 〇 | ○ | ||
コミュニケーション | ○ | ○ | ○ | 〇 | ○ |
リーダーシップ | ○ | 〇 | |||
技術者倫理 | 〇 | 〇 | |||
継続研鑽 | 〇 |
後は各コンピテンシーの定義や意識することを把握していけば、回答のポイント、勉強するときに意識することが明確化できそうですね!
※以下の赤マーカー部分は令和5年に発表があった改定箇所です。
専門的学識
・技術士が専門とする技術分野(技術部門)の業務に必要な、技術部門全般にわたる専門知識及び選択科目に関する専門知識を理解し応用すること。
・技術士の業務に必要な、わが国固有の法令等の制度及び社会・自然条件に関する専門知識を理解し応用すること。
ここは特別意識することはなくて大丈夫そうです。
各自の専門分野の知識なので。
他の項目で押さえたいポイントもあるので、そちらに集中しましょう。
問題解決
・業務遂行上直面する複合的な問題に対して、これらの内容を明確にし、必要に応じてデータ・情報技術を活用して定義し、調査し、これらの背景に潜在する問題発生要因や制約要因を抽出し分析すること。
・複合的な問題に関して、多角的な視点を考慮し、ステークホルダーの意見を取り入れながら、相相反する要求事項(必要性、機能性、技術的実現性、安全性、経済性等)、それらによって及ぼされる影響の重要度を考慮した上で、複数の選択肢を提起し、これらを踏まえた解決策を合理的に提案し、又は改善すること。
問題解決能力、と言葉のニュアンスで自分で決めつけると危険です。
定義から抽出される要求事項は以下の2点です。
・問題の要因や制約を抽出し分析する
・複数の選択肢を提示し、合理的に提案及び改善をしていく
これが技術士の求める問題解決です。
論文試験の必須Ⅰと選択Ⅲで問われます。
マネジメント
定義:
業務の計画・実行・検証・是正(変更)等の過程において,品質,コスト,納期及び生産性とリスク対応に関する要求事項,又は成果物(製品,システム,施設,プロジェクト,サービス等)に係る要求事項の特性(必要性,機能性,技術的実現性,安全性,経済性等)を満たすことを目的として,人員・設備・金銭・情報等の資源を配分すること。
・PDCAの中で、QCDと成果物に対する要求事項を満たすためにヒト・モノ・カネのリソースを配分すること
選択Ⅱー2と口頭試験で問われます。
評価
定義:
業務遂行上の各段階における結果,最終的に得られる成果やその波及効果を評価し,次段階や別の業務の改善に資すること。
・途中段階の結果(進捗度合いや達成率)、最終的な成果(当初計画との比較など)、波及効果、を評価できる能力。
波及効果は本来の目的とは別に周辺に及ぼす影響、としてとらえた方が良さそうです。
必須Ⅰ、選択Ⅲ、口頭試験で問われます。
コミュニケーション
定義:
・業務履行上,情報技術を活用し、口頭や文書等の方法を通じて,雇用者,上司や同僚,クライアントやユーザー等多様な関係者との間で,明確かつ包摂的な意思疎通を図り、協働すること。
・海外における業務に携わる際は,一定の語学力による業務上必要な意思疎通に加え,現地の社会的文化的多様性を理解し関係者との間で可能な限り協調すること。
・海外プロジェクトで、多面的な価値観を尊重して協調する。
・そのほかは普通のコミュニケーションと同義(多様な関係者は特に意識しておく)。
すべての試験で問われます。
普段のコミュニケーション方法は整理しておいた方が良さそうです。
リーダーシップ
ここは一番注意が必要かもしれません。
定義:
・業務遂行にあたり,明確なデザインと現場感覚を持ち,多様な関係者の利害等を調整し取りまとめることに努めること。
・海外における業務に携わる際は,多様な価値観や能力を有する現地関係者とともに,プロジェクト等の事業や業務の遂行に努めること。
・明確なデザインと現場感覚を持ち、多様な関係者との利害調整。
・海外プロジェクトで、多面的な価値観を有する現地関係者との業務遂行。
デザインとは、プロジェクトの達成するためのプロセス、と考えれば良さそうです。
現場感覚は、5ゲン主義の、現場・現物・現実・原理・原則、をイメージしていればOKでしょう。
選択Ⅱー2と口頭試験で問われます。
技術者倫理
定義:
・業務遂行にあたり,公衆の安全,健康及び福利を最優先に考慮した上で,社会,経済及び環境に対する影響を予見し,地球環境の保全等,次世代にわたる社会の持続可能な成果の達成を目指し,技術士としての使命,社会的地位及び職責を自覚し,倫理的に行動すること。
・業務履行上,関係法令等の制度が求めている事項を遵守し,文化的価値を尊重すること。
・業務履行上行う決定に際して,自らの業務及び責任の範囲を明確にし,これらの責任を負うこと。
・公益確保 (定義の1番目前半:公衆の安全、健康及び福利を最優先に考慮)
・社会の持続可能性確保 (定義の1番目後半:地球環境の保全等、次世代にわたる社会の持続可能性の確保に努め)
・法令遵守 (定義の2番目)
・説明責任 (定義の3番目) 2段階ある、範囲の明確化と責任を負うこと
必須Ⅰと口頭試験で問われます。
継続研鑽
定義:
・CPD活動を行い、コンピテンシーを維持・向上させ、新しい技術とともに絶えず変化し続ける仕事の性質に適応する能力を高めること。
口頭試験で問われます。
資質向上のための活動について、記録管理しておき証明できるようにする必要があるようです。
具体的には、セミナーの受講(インプット)、論文発表や講演会講師(アウトプット)、その他にも資格取得、特許出願などがあるようです。ただし、通常業務は除きます。
まとめ
きちんと言葉の定義を理解したうえで、論文の勉強をすることが合格への最短ルートだと思います。
どの項目が評価項目なのかをきちんと把握し、求められている内容(コンピテンシー)を記載していくことが、得点につながると信じて、これから勉強していこうと思います。
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